中小企業庁:令和5年度「地域中小企業人材確保支援等事業(中核人材確保支援能力向上事業:実証機関)」受託事業

令和3年度 京都府北部エリアにおける支援事例
「『副業』専門人材を活用した経営課題解決の実践」

株式会社うえもり
テーマ:介護事業のブランディングによる差別化

副業人材募集の背景と課題

弊社は、豊かな自然に恵まれた与謝野町で、認知症対応グループホーム“ふれあい”や認知症対応デイサービスなどを運営する介護事業所です。「認知症スペシャリストがケアする施設」を特徴に、地域の福祉活動に貢献できるよう日々活動しています。1995年開設以来、認知症ケアの専門事業所として運営しており、認知症ケアの知識と経験はどの事業所にも引けを取らないと自負しています。しかし、そのような特徴が、事業所の内外に「強み」として十分に認識されているとは言い難い現状があります。
そのため、優先的に取り組むべき課題は「当社の介護事業のブランディングによる差別化」であると考えました。

副業人材の募集~採用、副業人材に対する評価

書類選考では、副業人材の募集要項に課題解決で取り組んで欲しいことをすべて記載したので、その応答や経歴等をチェックしました。応募者15名の中から、それらに詳細に応えていただいた方とオンライン面談で話してみたいと思い、面談者を決めました。オンライン面談では「できることは何でもやります」という上限や制限を設けずに課題解決に取り組んで頂けて、課題解決の提案内容がどんどん広がっていきそうだという印象を持った方を採用しました。その方は話を上手に聞き、積極的に話し、リアクションも素直で、お人柄も良い。課題解決に向けた提案内容もしっかりしていて、事業所の現状を包み隠さず話し合うことで、お互いが信頼し合って課題解決に取り組めると評価しています。

副業人材との課題への取組(プロジェクト)の状況及び現状

副業人材の方とは月に3~4回(1回2時間程度)の打ち合わせをオンラインで行い、資料はメール添付で頂いています。対面で打ち合わせたことはなく、ICTの活用で十分に副業人材の方とコミュニケーションが取れています。打ち合わせの回数を重ねていきますと、スタッフも職場も意識的に変わっていくところがあります。例えば、人材募集では、これまで中途採用に焦点を絞ってリーフレット等を作成・配布していましたが、中長期的な視点から「大学生のインターンシップを取れないか」という提案を受け、インターンシップをどう受け入れるか等の工程案を考え始めました。採用はこれまで社長1人が担当するのが通例でしたが、施設長も一緒に担当してくれるようになりました。人材募集に積極的でなかった職場の意識が少しずつ変わり、今までならば話題にも上らなかった事業所の後進への継承をスタッフ自ら考えて話してくれるようになったのは大きな変化だと思います。また、副業人材の方から提案のあったホームページのデザインやコンテンツの配置換え、スタッフへのアンケートも実施し、日頃の活動報告を行いながら、課題解決に取り組んでいます。このように、副業人材の活用で、良い影響が出始め、良い方向に向かっています。

副業人材の活用により目指す姿

副業人材の方とは2回の契約更新をし、今5か月目ですが、副業人材の方からご提案頂いた内容を基に話し合って課題解決に取り組んでいます。成果物はまだ出きていないのですが、今回の課題は長期的に取り組むものなので、ハイペースでなく、じんわりとその結果が出ればよいと思います。それが課題解決に繋がって、自社の「強み」や特徴を明確化し、それを情報として地域に発信していくことで他事業所との差別化を図るように取り組んでいきたいと思います。

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